夜空に浮かぶ欠けた月たち
ただ、普通に生きる。
普通から離脱してる時、感じるのはその難しさ。
そもそも、普通ってなんだ……。
精神科医の井上智介先生が監修したという窪美澄さんのこちらの本。
数日の私の夜のお供。
一気に読破! ではなく、毎夜1話ずつゆっくりと読み進めるたくなるような本だった。
現に本をめくる手をあえて休めながら読んでいた。
いつかは、今とはまた違うかつてのような日常が戻ってくるよ。
という静かな希望を示唆してくれる本だった。
その希望があるか、ないか。
かわり映えのない日々の暮らしの中で、その少し先に光がホワッと灯るのが見えて、おいでと待ってくれていることがわかったのなら。
それが、どれほどの救いになるか。
少なくても、今のわたしにはとても必要な安心材料になり得るのだ。
希望というものが。
まるで普通だとおもっていたあの頃の日々がまた戻ってくるのか……。
いつか……。きっと。
繰り返えされる淡い期待とともに、何かを経由した後のそれは、かつてのそれとは全く同じものでは無いのだろうということを本当は知っている。
同じようなものかもしれないけど、それはきっと違う何かになりかわっている。
それでいい。
その上でもう一度、普通というあたり前にどっぷり浸かりたい。
いつか劇的に事態が好転するのだろか。
変化というのもが、
とても小さく分かりづらいものだから時々、確かめてみたくなる。
誰かに大丈夫だと言って欲しくなる。
裏が透けてみえるような薄紙を重ねるような変化でもいい。
そのあまりにも薄い紙をそっと飛んでいかないように重ねるという行いをわたしは繰り返せているのだろうか。
たとえ5ミリでも、1センチでも目に見えて厚みが増しているのを知れたのなら、大丈夫。
そう思えるような気がする。