推し

雑読ウィーク。

 

なんとなくいつか読んでみたいなを集めた今週のラインナップ。

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まずは推し、燃ゆ。

 

若き作者の芥川賞受賞作品のこちら。

当時話題になっていたけど未読だったのでこの機会に手に取ってみた。

 

生きづらさを抱えるも懸命に推し活に励む10代の女の子。

 

ある特定人物を推す。昔で言うところのいわゆる追っかけ的なもの?そのどちらもなったことはないので、正直その心理がわからず‥のところもあったけど。

 

そのやり方やのめり込み方たるや。

時間やお金、労力、色々なものを失うことを加味しても、そんな対象がいること自体実は幸せなことなんでないかとすら思う。

 

少女は推しのことをまるで自分の背骨だと比喩するような箇所があった。

 

背骨は人にとってまさに真髄。

 

推しのいない自分の背骨には一体何が該当するのだろう‥と巡らすと結局自分が大事なんじゃないかと寂しさが漂うそんな読後感。

 

病名こそ伏せていたけど、ある種の精神疾患を患っていることを示唆している彼女の生きづらさ。

それが生々しくて少し苦しくなった。

 

本当に普通のことが普通にできないだ!という気持ちがわかってもらえない辛さ。

 

なんで普通のことができないのだ?と問われる度に彼女はそれがなんでできないのか誰か教えて欲しいと望む。

 

病に限らず、当人の胸の内を丸ごと理解することは難しい。

 

だからこそ、推しの中に本当のあたなを理解しているのはわたしなんだ。むしろわかって欲しいのは自分なのだと願望めいたその思いがそこに向かわせるのだろうか。

 

好きか嫌いかで問われると個人的には好きな作品ではなかったけど若き作家のリアルな心理描写は読ませるものがあった。