ミシンと金魚

 

花はきれいで、今日は、死ぬ日だ。

暴力と愛情、幸福と絶望、諦念と悔悟……認知症を患う“あたし”が語り始める、凄絶な「女の一生」。
現役ケアマネージャーが放つ衝撃のデビュー作!

 

今夜の本は『ミシンと金魚』。

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とある特定の立場からその世界を見たならば、きっとこんな風に思うんだろうな…

その様がとてもリアルできっと、絶対、そう思うだろうなと思った。

 

ひどい人生だったかもしれない。

でも、しあわせだった時が確かにあった。

 

誰にでもそんな風に自分の人生に流れる絶望と幸福を思うひと時があるのだと思う。

 

新しい記憶が曖昧になる一方で、忘れたいような過去はどこまでも消えない。

 

人の記憶を司るものが出来事ではなく、感情だということを思い知らされる。

 

なのに自分が朽ち果てるその時に季節を思ったのはカケイ。

 

感情を伴う記憶がどごまでも生き続ける中に、最後にほんとに思い浮かぶのは今目の前のことなのかもしれない…。

 

刹那を生きる。人間とはそういうものなのかもしれないと思い知る読後感。