君の顔では泣けない

自分なら…どう生きるか…。誰かと自分が入れわかったら。

そして、それが異性なら…。さて、どうする?

 

“君の顔では泣けない”

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を読み終えて2日。未だ考察がやまない。

 

しまいにはもし体が入れ替わったらどうすべきかマニュアルなるものをネット記事で見つけて気づいたら読み耽る始末。

んなわけないだろうと思いながも最後まで読んでしまったのはここだけの話。

 

 

まるでいつか自分の身にそれが起こるかのごとく。備えちゃってる自分がいる。

 

男女が入れわかる話は、わりとありがちな題材。

幾度となく、ドラマ、漫画、映画にもなってきた。

 

この本も高校生の同級生の男女が入れ替わる。王道中の王道。

 

でも今までと全然違うのは、彼らは入れ変わったまま子どもから大人になっていくのだ。

 

それぞれの人生を生きながらも、もう一人の自分の存在と正対する。

そしてずっと入れ替わりが解かれるまでお互いの人生を担ぐ。

本当の自分に戻るまでそうして関わって、寄り添って、知恵を絞って生きて行く。

 

…のかと思いきやそうでもない。

 

別の性をもつ一人の人間として生きていく道を歩くのだ。

 

その描写が今までのありがちな入れ替わりとは一風変わっていて面白かった。そしてとてつもなく切なかった。

 

彼らの生きる世界は想像すると孤独の2文字が1番に浮かぶ。

 

1番近しいはずの家族、兄弟、親友、恋人にも本当の自分を明かせない…。

 

本当の自分のことをもう1人の自分以外知り得ない世界。

 

究極の孤独ってそういうことなんじゃないのかと思った。

 

孤独の中で生きる2人。

 

時を経て、彼らの孤独の先にあったものはなんだったのか。

 

読み終えからもずっずっと余韻が胸に残る一冊。