立ち直る力

今週の本。

 

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まずは、【立ち直る力】

本書は、そのほとんどが作者の辻仁成さんから息子さんに向けて書かれたもの。

 


「息子よ。」という冒頭の呼びかけを、外したら不特定多数の人への書物になるという発見から出版に至った本。

 


辻さんと言えば学生の時に読んだ冷静と情熱の間が初めての辻さんの作品との出会いだった。

 


時々テレビでお見かけする辻さんからあんな切ない本が生まれるのかと不思議だった。

 


映画に思いっきり引っ張られ竹内豊みたいな人が書いてるような気になっていたのだ。

 


わたし的あるある。

名前しか知らない作家さんの顔を初めて見た時だいたいあっ、こんなお顔なんだ! イメージとかけ離れていることが多い。

 

 

 

作家さんをその作風から勝手にイメージしてしまいがちから起こる現象。

 


それからも時々、私生活でテレビを賑わす辻さんを見るたび思ってきた。

あっ、あの情熱〜の辻さん今度はこんなことになってるのねと。

 


顔を認知してからも長らく、あの冷静と〜の辻さんだったが、ある時を境にわたしの中で大きく変わることとなった。

 

 

 

きっかけは、テレビの密着。

父と息子2人きりのフランスでの父子家庭の生活様子を見てから。

 


料理がうまい。家族に対しての一手間を惜しまない。それだけでも愛の深い人なんだと関心した。だから冷静と情熱の間が書けるんだ。と、合点がいった。

 


テレビに映る辻さんは、アーティストでも作家でもなく、ただ一心に息子さんを愛し守る1人のお父さんだった。

 

 

 

それからテレビの中で辻さんをお見かけする時、あっ! あのフランスで息子さんを大切にされてる辻さんになった。

 


そこにきてこちらの本を読んだものだからやっぱり息子さんへの愛を確信した。

 


作中のなかでわたしが一番好きな話が、“そのためのカップラーメン”とう短編である。

 


本書はだいたいが辻さんから息子さんへの語り口になっている短編なんだけだ、その話しは息子さんから発せられる言葉で始まる。

 


パパ、1日中家にいて掃除やご飯ばかり作ってばかりはダメ。

たまには飲みにいって。

日曜日までこもって家事をする辻さんを労って、そのためにカップラーメンがあるんだからみたいなことを父に向かって言う息子さんとの素敵なやりとりからなる短編。

 


普段からきっと手料理を頑張って振る舞ってるからこその息子さんの発言なんだなと思う。

いい話じゃないかとジーーンとする。

 


この本には他にもジーンが溢れている。

 


それは何度も立ち直ってきたんだろことを察する

辻さんの言葉が詰まっているから。

 

 

 

親から子に教えてあげれる大切なことは

立ち直る力。

それこそが生き抜く術。 

勉強でも世渡りでもない。何があってももまた前を向いて進める力。

 

 

 

弱ってる時にまた、読みたい一冊。